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キニスンがしばしば述べたように、レンズマンのジェロンド代将《だいしょう》は、いくらか権威主義的なところがあった。彼は自分の基地が、調整官の考えているほど弱体《じゃくたい》だとは信じなかったし、信じることができなかった。キニスンは、通常の防御がすべて無益であることを知っていたから、それについては指示することさえしなかった。ジェロンドは、それまで無敵《むてき》だった兵器や、難攻不落だった防御装置が、突然無意味になったとは信じられなかったので、自己の意志でそれらを総動員した。
すべての休暇は取り消された。すべての探知器、すべてのビーム放射器、すべての攻撃防御装置には、完全に要員が配置された。全員が緊張し警戒していた。ジェロンドは異常な事件が起ころうとしているタイトリストap2ことを感じはしたが、そのベテランらしい頑固な心の中では、自分や部下に充分の戦闘力があるものと確信していた。 夜の十二時二分前、宇宙服をつけた大統領と護衛たちは、ジェロンドのオフィスを出た。一分後、彼らは指定された部屋のドアのまえを通りすぎた。彼らの後方で一発の爆弾が破裂したと思うと、後方の枝廊下から、宇宙服をつけた男たちが叫び声をあげながらとびだした。だれもが立ち止まってふりむいた。目に見えないで空間にただよっている三次元的超空間サークルの中にいる、目に見えない観測員もそうしただろう。姿をかくしているキニスンはそう確信した。 キニスンはドアをさっと開くと、説明的思考を大統領にすばやく投射《とうしゃ》するなり、彼を部屋に引き入れ、パトロール隊基地でさえも通常は見かけないような兵Titleist ap2器で武装した一団のレンズマンのただなかに押しこんだ。ドアがぱたりととざされると、一瞬まえていた場所には、大統領が着用していたと同じ宇宙服姿のキニスンが立っていた。この交換には一秒たらずしかかからなかった。 「QX、ジェロンドおよび諸君!」キニスンは思考を投射した。「大統領は安全だ――わたしが交替する。二倍速度で直進《ちょくしん》――急げ――! 離脱《りだつ》――われわれに兵器を使用するチャンスを与えるのだ!」 宇宙服を着用していない人々は駆けだした。そのとたん、二十四号室のドアがさっと開き、開ききりになった。他のドアからも枝廊下からも兵器が噴射《ふんしゃ》した。事実上、超空間チューブの末端をなしている超空間サークルが、しだいに濃く浮きあがってきた。 PR |
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