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ついに仕事は完了した。損害をこうむったパトロール軍は、戦利品や負傷者とともにドーントレス号に引きあげた。洞窟はその中味もろとも抹殺された。二隻の船は離陸した。カーティフの重武装した〈商船〉は、地球へ向かって長い航行にのぼるのだ。ドーントレス号はヘレンと彼女の飛行機を彼女の空港におろし、それからすでに第九十七|裂け目《リフト》に集結しつつあるパトロール艦隊と合流する予定だった。
「ここへきてくれない、キム?」クラた。「わたくし、ヘレンをしきりにとめたんだけど、彼女は船からおりるまえに、あなたとお話したいというの――ほんとに、そういってきかないのよ」 「ふむ――そいつはたいしたことだ!」レンズマンは叫んで、看護婦長のキャビンに急いで出かけた。<Callaway X22BR> そこには、ライレーンの女王が立っていた。五フィート六インチのクラリッサより、たっぷり五インチは高く、体重もクラリッサの百四十五ポンドというかなりの目方より、三十五ポンドも重いのだ。堂々と美しくしなやかに、彼女は直立していた。あわいブロンズ色のきわめて優美な彫刻のようだ。炎のような髪は、はなやかに乱れている。彼女は顔を誇らしげに保ち、わずかにあおむいて、地球人の静かで同情的な目を見つめた。 「ありがとう、キニスン、あなたやあなたの部下が、わたしやわたしの人民にしてくれたすべてのことを感謝します」彼女は簡潔にいうと、地球人の作法にしたがって、右手を差しだした。 「いいよ、ヘレン」キニスンは、差しだされた手を握ろうともせずに、おだやかに首をふった――ヘレンはほっとしたようすで、いそいで手をキャロウェイ X22ひっこめた。「けっこうだ。まったくたいしたことだと思うよ。だが、ぼくたち男性をそう早く好きになろうと努めることはない。徐々になれることだ。ぼくらはきみが好きだし、それ以上に尊敬している。しかし、ぼくらは宇宙をあちこち見ているのに、きみは見ていない。きみはまだ、ぼくと握手するほど親しみを持てないはずだ――事実、きみにはまだ、そんな負担に耐えるだけの準備がないのだ――だが、こんどは、きみがぼくと握手しようと考えたことを、実際に握手したものと考えよう。だが、実際にそうするように努力をつづけたまえ。そうすれば、いまにできるようになる。さしあたり、ぼくらはもっぱらきみたちを援助する。もし何か援助が必要になったら、きみの飛行機に通信機を取り付けておいたから、それで連絡したまえ。じゃあ、ごきげんよう!」 PR |
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