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もちろん、多くのデルゴン貴族は、デルゴンを脱出することに成功した。ある者は犠牲者を運んできた宇宙船に乗って逃げ、ある者はアイヒ族によって他の太陽系へ移された。残りの者は殺戮された。そして、ヴェランシア人がデルゴン貴族を殺せるという認識は強まり、ヴェランシア人の心に発生した抑圧者に対する感情は、文字どおり名状しがたいものになった。恐怖は依然として多量に残存していた――それは、まったく除去しがたいものだったのだ。嫌悪と反感もあった。それから、苛烈な燃えるような憎悪。そして、それらすべての感情にも増して強烈で、ほ達しているのは、触知しうるほど濃密で、わめきたて、歯ぎしりし、駆りたてるような復讐の欲求である。ウォーゼルはじりじりして待機しながら、それらすべての感情、いやそれ以上のものを感じていた。
バレリア人が洞窟に侵入することを望んだのは、そCallaway Big Berthaれが肉弾戦になることを意味しているからだ。戦闘は彼らの職業であり、スポーツであり、娯楽だった。彼らは、単純に心を打ちこんで闘争のために闘争を愛した。戦いながら死ぬことは、バレリア人の戦士にとって、自然で望ましい最期だった。平和に死ぬことは、不名誉で罪悪だった。彼らは、ちょうど大学生がデートの相手に会いに出かけると同じような喜びをもって、戦闘におもむくのだ。しかも、肉体的闘争をいやがうえにも楽しくするものとして、彼らはいまや半携帯式の牽引ビーム放射器と圧迫ビーム放射器を携行していた。真の殺戮は、戦闘が事実上終了するまでははじまらないのだ。デルゴン貴族たちを光線銃で殺戮することは単純そのものだ。しかし、知識や情報をあらいざらい白状するまでは、敵を殺してはならないのだ。 パレインのナドレックが行きたがったのは、すでに所有している膨大な知識をいっそう増すことだけが目的だった。事実に対する彼の欲求キャロウェイ Big Berthaは、純粋に科学的なものだった。その欲求を満足させる方法などは、まったくどうでもよかった。事実、銀河文明に所属するものをも含めてすべての冷血種族が、苦痛に対して示す平静な冷淡さ、完全な無関心というものを人類に理解させることは不可能である。とくにその苦痛をこうむるのが敵である場合にはなおさらだ。ナドレックは〈後悔〉〈同情〉〈潔癖〉などという言葉のだいたいの意味を、読書を通じて、学問的哲学的に理解してはいたが、デルゴン貴族の心からデータを抽出《ちゅうしゅつ》するというような機械的な作業について、その過程で不幸な犠牲者がどんな目に合わねばならないとしても、それに対してそうした言葉が適用されると知ったならば、とほうもなく驚いたことだろう。 トレゴンシーが洞窟にはいったのは、キニスンがはいったからで、それ以外の理由はない――つまり、地球人が彼を必要とする場合に、それに応じるためなのだ。 PR |
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