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【2024/04/19 17:45 】 |
目を思いきりこらし
しかし、それは実体化しなかった。てはじめて、霧よりもっと薄い影のように見わけられるだけだった。宇宙船らしいものの中にいる乗組員は、空中に描いた筋のようにかすかで、細部は区別できない。それらはすべて実体化することはなかったが、ただ一つだけ固体化しつつあるのは、キニスンをねらって下降《かこう》してくる真っ黒い物体、巨大なはさみ道具と目のあらい重い網とを組みあわせた物体だった。
キニスンのデラメーター式放射器は、最大の強度と最小の開口で火を吐いた。が効果がない。その物体はデュレウムだった。信じられないほど密度が大きく、極端《きょくたん》に耐火性の合成物質で、純粋エネルギーで飽和させられており、通常の空間と超空間チューブを構成している擬似《ぎじ》空間との中で共通に存在できる唯一の物質なのだ。レンズマンは慣性中立器のスイッチテーラーメイド R7を入れ、無慣性状態に移行した。しかしその操作も敵に予想されていた。ボスコニアの技術員は、彼がするすべての動作にほとんど同時に対応し、網は彼を包囲した。
そのとき、半携帯式放射器が火を吐いた――強力な熱線だ――しかし、それらも発射されなかったと同様だった。熱線はデュレウムの鎖を切断することができなかった。目標の幽霊《ゆうれい》のような侵入者に、害も与えずに通過した――貫通したのではない。キニスンはボスコニア船に運びこまれた。通常の空間から擬似空間に移行するにつれて、船体、装置、乗組員などが、しだいに強固に実体的に感じられるようになった。
擬似世界が現実化するにつれて、後方の基地の現実性は、非現実性へと希薄化していった。数秒のうちに、基地は完全に消滅《しょうめつ》した。キニスンは、自分が味方の人々の感覚から消滅したことを知った。しかしこの船は、充分に現実性をそなえてTaylormade R7いた。彼の捕獲者《ほかくしゃ》もまたそうだった。
網が開き、レンズマンは不名誉にも床にぶちまけられた。牽引ビームが彼の火を吐くデラメーターをもぎとった――手や腕がそれといっしょにもぎとられるか否《いな》かは、彼の意志しだいだった。牽引ビームと圧迫ビームが彼をぐっとひき起こし、部屋の鋼鉄の壁にたたきつけて、身動きできないようにした。
彼は憤然《ふんぜん》として、もっとも致命的《ちめいてき》な武器を投射した。ウォーゼルが考案し、ソーンダイクがつくった、精神で操作される思考波で、思考と生命に不可欠な分子を分解してしまうのだ。しかし、なにごとも起こらなかった。彼は探知して、自分の知覚力さえ、人間に似た敵のからだのどの部分からも、一フィートくらい手前で停止するのを知った。彼は心をおちつけて思考した。ふいにある事実があきらかになった。彼は、はっと胸をつかれた。</
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【2011/09/07 14:44 】 | 未選択 | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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